未来に選ばれる企業のCSRの取り組み
CSRとは“Corporate Social Responsibility”の頭文字を取ったもので、日本では“企業の社会的責任”と訳されます。
CSRの代表的なものとしては、納税や法令順守といった当たり前のことから、安心・安全な商品やサービスの提供、人権の尊重、公正な事業活動の推進、環境への取り組み、地域課題への取り組みなどがあげられます。
昨今では、投資家が投資先を選定する際に、CSRの評価を取り入れるSRI(社会的責任投資)が広がりつつあることや、学生が就職活動の際に企業のCSRを確認するといったことも当たり前になってきました。
このように、企業のソーシャルブランディングにおいて重要な役割を果たすCSRですが、具体的にどのような活動が挙げられるのでしょうか。
特に有名なプロジェクトやユニークな取り組みをピックアップしてご紹介したいと思います。
キリン 「1ℓ for 10ℓ 」プログラム
このプログラムは、ボルヴィックの売り上げの一部をユニセフを通じて寄付し、アフリカ マリ共和国に清潔で安全な水を確保することや、日本におけるアフリカの水問題・水支援についての認知拡大・理解向上を目的に2007年より開始されました。
新しい井戸の掘削や既存の井戸の修復、持続的に井戸を活用していけるよう人々にメンテナンス指導などを行うことで、アフリカ マリ共和国の人々を取り巻く環境に大きな変化をもたらしました。
これまでの支援により生まれた水の総量
5,036,817,768リットル
建設・修復設備総数
- 手押しポンプ付深井戸建設 90基
- 手押しポンプ付深井戸修理 169基
- ソーラーパネル給水設備建設 18基
毎日遠くまで通っていた水汲みから解放されたことにより学校に通える子どもたちが増え、井戸から汲んできたきれいな水は、日々の生活をより安全で豊かなものに変えました。
「1ℓ for 10ℓ 」プログラムは、2016年8月31日をもちまして終了いたしました。
neipa 「千のトイレ」プロジェクト
2008年に始まった「nepia 千のトイレプロジェクト」は、ネピア商品の売上げの一部で、東ティモールのトイレづくりや水と衛生の教育を支援するキャンペーンです。
2015年度の第8フェーズまでの寄付金総額は142,912,346円となり、ユニセフ東ティモール事務所による屋外排泄根絶の活動に生かされています。
森永 「1チョコfor1スマイル」キャンペーン
http://www.morinaga.co.jp/1choco-1smile/
「1チョコ for 1スマイル」は、ガーナなどカカオの国の子どもたちが安心して教育を受けられるように、商品の売上の一部を使って支援する活動です。
年間を通して行う寄付に加えて、〈特別月間〉では森永チョコレートの対象商品1個につき1円を寄付する特別キャンペーンを実施しています。
2017年1月16日〜2月14日で集まったお金
15,002,105円
※キャンペーン期間は終了しています。
サントリー 「天然水の森」
http://www.suntory.co.jp/company/cm/forest-recruit/
サントリーの「天然水の森」は大きく2つの活動に分けられます。
商品のライフサイクル全体で環境負荷低減を目指す取り組み
- ペットボトル等の容器の原材料調達に環境を配慮した取り組み
従来のペットボトルの原料はすべて石油由来のものでしたが、サントリーグループでは、環境負荷の少ない植物由来原料を30%使用したボトルを独自開発し、550mℓペットボトルに採用。この植物由来原料の採用と軽量化の実現により、石油由来原料の使用量を550mℓペットボトル1本あたり約4割削減することができました。
- 軽量ボトルや極薄ラベルの開発など製造段階で環境に配慮した取り組み
国産最軽量のペットボトルの開発や、ユーザビリティに配慮したプロダクトデザイン、製造時のCO2排出量や水使用量の削減にも取り組んでいます。
- 鉄道・船舶輸送への切り替えなど物流において環境負荷低減を目指す取り組み
- 自動販売機のやオフィスの省エネ、環境負荷の少ない営業車両の導入など販売過程における取り組み
- 簡単に折りたためるペットボトルの開発などリサイクルを促進することで環境負荷低減を目指す取り組み
自然環境の保全・再生を目的とした取り組み
- 地下水を育む森の整備
サントリーグループは、商品の製造段階で多くの地下水を使用することから、工場で汲み上げる量を上回る地下水を生み出す、豊かな森を育む責任があると考えています。そこで工場の水源涵養エリアの森にサントリーが自ら保全活動を行う領域を設定し、その森を「天然水の森」と名づけ、地下水を育む森を整備しています。
- 野鳥保護活動
森の生態系全体の健全度を計る1つのバロメーターが、自然環境の変化に敏感な「野鳥」です。特に生態系ピラミッドの頂点に位置する猛禽(もうきん)類は、環境が少しでも悪化すると姿を消してしまいます。なぜなら猛禽類が生きていくためには餌となる小動物や、その小動物の餌となる昆虫などが生息できる環境が必要だからです。つまり猛禽類が住む森は、生態系全体が健全で、豊かな土壌も守られている森だということができます。大切なのは、たとえば希少なクマタカなどの猛禽類を守るだけではなく、彼らが住める環境全体を守ること。それこそが、鳥たちから学んだ自然との共生という考え方です。
サントリーグループでは、「天然水の森」における野鳥にフォーカスした生態系保全活動をはじめ、広く野鳥保護活動に対する助成なども行っています。 - 水育
2017年で開始から14年目を迎える次世代環境教育「水育」。子どもたちが自然のすばらしさを感じ、水や、水を育む森の大切さに気づき、未来に水を引き継ぐために何ができるのかを考える、次世代に向けたサントリー独自のプログラムです。「森と水の学校」と「出張授業」の2つを中心に活動を展開しています。
http://www.suntory.co.jp/company/csr/highlight/2013/environment/#anc02
Dena 「CHO室」
http://dena.com/jp/csr/cho-office/
最後に、株式会社DeNAが実施しているCHO(Chief Health Officer)室をご紹介します。
健康を通して社員の生産性をあげることをミッションに、1.食事、2.運動、3.睡眠、4.メンタルの4つを軸にした活動を推進しています。
具体的な活動実績として、以下のようなものが挙げられます。
- ウェルメシプロジェクト(お弁当販売、アプリ開発・運営)
- NY流食事セミナー
- 午前中のパフォーマンスアップセミナー
- 腰痛撲滅プロジェクト
- 社内にウェルネスルームを設置
- 朝ヨガ@代々木公園
- 姿勢矯正グッズの割引提供
- 睡眠スキルアップセミナー
- 睡眠改善相談会
- マインドフルネス講座
- 呼吸法ワークショップ
- 「渋谷ウェルネスシティ・コンソーシアム」2016年度経産省採択事業)立ち上げ、合同イベント開催
- 新卒社員健康研修
まとめ
いずれの企業も共通して言えることは、企業としてCSRにしっかりと取り組み、わかりやすい形でその取り組みを紹介しているという点ではないでしょうか。
顧客だけでなく社会全体から支持される企業であること、それがすなわち「未来に選ばれる企業」になるためのソーシャルブランディングの第一歩と言えるのではないでしょうか。
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