人材争奪競争も加熱!上昇し続ける求人倍率
採用や人事に携わる方なら詳しくご存じの方も多いと思いますが、よく耳にするけど実態はよくわかっていないという方のために、ここ数年の景気動向の改善で上昇している求人倍率について調べてみました。
求人倍率が高いほど、加熱する人材獲得競争
求人倍率とは、求職者一人あたりに何件の求人があるかを示す数値で、数値が高ければ高いほど求人の数が多い状態となります。求人の数が多いということは、企業がより多くの労働者を求めている状態で、それだけ経済に活気があると考えられています。求人倍率が上がれば上がるほど求職者にとっては就職が有利になり、企業にとっては競争率があがるので、採用担当者は人材を確保するためにさまざまな工夫に迫られてしまいます。
求人倍率は正確な数値ではない?
ひとえに求人倍率と言っても公表されている求人倍率にはいくつか種類があります。
ニュースなどでは厚生労働省から発表される有効求人倍率がよく取り上げられているので、よく耳にするのはこの有効求人倍率ではないでしょうか。
この有効求人倍率というのは、公共職業安定所(職安またはハローワーク)で扱った有効な求人数を、同じく公共職業安定所へ登録のあった求職者数で割った数値です。
職安への求人登録は無料なので、全く採用する気のない、いわゆるカラ求人が含まれてしまったりと、あまり正確な数値とは言えないのが現状のようです。
※職安に登録できる求人の有効期間は2ヶ月間
また、有効求人倍率とは別に厚生労働省から新規求人倍率という指標も発表されています。
新規求人倍率は、その名の通り職安で扱った当月の新規求人数を新規求職者数で割った数値です。新規求人というのは、将来的な増産の見通しがついた企業から出てくるので、企業の景況感を直に表し、労働情勢をみる一つの指標として考えられています。
種類 | 公表機関 | 新規学卒者(以下、新卒)の扱い |
---|---|---|
新規求人倍率(しんききゅうじんばいりつ) | 厚生労働省(職業安定業務統計) | 含まない |
有効求人倍率(ゆうこうきゅうじんばいりつ) | 厚生労働省(職業安定業務統計) | 含まない |
中学、高校新卒の求人倍率 | 厚生労働省(新規学卒者(高校・中学)の職業紹介状況) | 含む(中学、高校新卒を対象) |
大卒の求人倍率 | リクルートワークス研究所(ワークス大卒求人倍率調査) | 含む(大学新卒を対象) |
このように厚生労働省から発表される指標には有効求人倍率と新規求人倍率があり、どちらの数値も職安で扱う求人数と求職者数だけで算出されているので、職安に登録せずに民間の求人広告や求人サイトによる数値は反映されていません。
求職者もネットで探したほうが効率よく希望する就職先が見つかるので、わざわざ職安に出向くことも少なくなってきています。また、職安では新卒をあまり扱わないので実質的な求人状況とはかけ離れる傾向にあり、正確な労働情勢を表す数値とは言えなくなってきてるようです。
厚生労働省からは、学業を終え社会へ飛び立つ学生たちの就職状況を把握するために「高校・中学新卒者の求人・求職状況」も発表されていますが、これも職安を通して職業紹介を希望した生徒だけを対象としているので、卒業後にフリーターとなる学生が増えている中、どれほどの学生が職安を通して求職活動をしているのかという疑問が残り、とても参考になる数値とは言えないのが現状です。
業種や職種に合わせたデータの取捨選択が必要
民間では、リクルートワークス研究所から大学新卒者の求人状況を把握するために「ワークス大卒求人倍率調査」を公表していたり、転職サイトを運営するDODA(デューダ)では、自サイトに登録された求人数と転職希望者から「転職求人倍率レポート」が毎月発表されています。
■リクルートワークス研究所>大卒求人倍率調査
http://www.works-i.com/surveys/graduate.html
■DODA(デューダ)> 転職求人倍率レポート(データ)
https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/data/
ニュースでは景気動向の一つとして有効求人倍率を使うことが多くありますが、はたしてこうした有効求人倍率から見えてくる労働情勢というのは、どれほど信憑性のあるデータなのでしょうか。民間の求人広告はおろか、最近では企業が運営する自社専用の採用サイトだけで人材を確保している企業も出始めています。もちろん、ここでの数値は厚生労働省が出している求人倍率には反映されませんし、求人広告を出さなければ、民間の統計にも反映することはありません。
こうした実情を踏まえ、求人倍率だけではなく様々なデータを駆使して、効率の良い採用活動に活かしてください。
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